日本は、労働時間が他国に比べて非常に長く、今でも有給や病欠が取り辛い労働環境にあると聞きます。
その割には日本の1時間あたりの労働生産性は47.5米ドルと、いわゆる主要先進国との比較では最下位という結果になっています。
一番労働生産性が高いのはアメリカで72ドルで、 2位はドイツで69.8ドルだそうです。
その原因の一つには、長時間労働があります。
上司がいるので帰りたくても帰れない、上司の印鑑が必要で週末出勤しなければいけないなど、労働環境的な問題で長時間労働を課せられているケースもあるのではないでしょうか。
カナダでは、労働者の権利が広く認められている為、労働時間は雇う側も尊重しています。
週5日、一日8時間労働での給与が基準で、決められた有給休暇は殆どの場合本人の希望した日にとることができます。
その他にも病欠日がある会社は、診断書無しでも電話一本で取ることができます。
私のデイケアでも、有給休暇二週間を契約書に入れてますので、前もって父兄に連絡をして有給休暇を希望の日にとることができます。
そう言った中、カナダでは更に面白い取り組みがなされています。
その取り組みとは、月曜日から木曜日、または火曜日から金曜日の一日10時間労働(週4日)を労働者が選択し働くと言うものです。
この試みは、トロントの東部にあるゾーラ群区で8ヶ月に及び試験的に行われ、今後継続して週4日勤務が採用される見通しです。
このオンライン記事の和訳です。
オンタリオ州ロンドンのすぐ東にあるゾーラ群区で週4日間の労働を試みたパイロットプロジェクトに成功し、恒久的になる予定です。
8か月のプロジェクトの後半が今月初めに終了し、ウエスターン大学とヨーク大学の研究者が研究の成功を認めました。
ロンドン東部のコミュニティの調査は、カナダで週4日間の労働を行う最大の公共部門の試験のひとつであり、30人の地方自治体の従業員が月曜日から木曜日または火曜日から金曜日のいずれかに1日10時間働いています。
水曜日の夜、ゾーラ群区評議会は調査の結果について話し合うために会合し、全会一致で一時的な変更を恒久的なものにすることを決議しました。
「スタッフは賛同声を上げてきました。最初は少し調整が必要でしたが、今では毎週3日間の週末に誰もが感謝しています」とゾーラの最高総務責任者であるDonMacLeodは述べています。
調査によると、従業員の73%が圧縮されたスケジュールで作業を続けたいと考えていました。
「公共部門で働く人々は、民間部門で働く人々と同じように、彼らの労働生活の柔軟性を高めることを熱望しています」とヨーク大学のザカリースパイサーは述べています。
「ゾラは、この柔軟性が可能であり、適切に管理できることを示しています。」
また、10時間の労働日は、納税者に追加費用をかけずに地方自治体の事務所がより長く開いていることを意味し、調査によると、従業員は週労働時間の短縮により、仕事と生活のバランスをより柔軟に管理できると感じました。
「この調査で私たちが見たのは、労働者が本当に減圧する機会を得たということです」とスパイサーは言いました。
人口8,138人のオックスフォード郡の町のスタッフは、パイロットの前はゾーッラでの雇用に満足しており、この満足度はパイロットの間もその後も一貫していました。
「ここでの潜在的な教訓は、優れた文化と強力なリーダーシップを持つ組織は革新的である可能性が高いということです」と、ウェスターンの地方自治体プログラムのディレクターであり、政治学の教授であるライオンズは述べています。
マクラウド氏は、この変更はスタッフの維持とコミュニティへのより多くの人々の誘致にも役立っていると述べた。「最後の2つの要件では、平均以上の応募者数がありました」と彼は言いました。
「私たちのウェブサイトでの雇用ページのヒット数は、パイロットが発表された直後に大幅に増加しました。」
調査では、変化を伴う人々からのいくつかの懸念が見つかりました。一部の参加者は、1日10時間のデイケアを見つけて、自宅でタスクを管理するのが難しいと指摘しました。
回答者の52%は、毎日長時間労働していると述べ、19%は、週労働時間の短縮によりワークフローが中断されたと述べています。
作業を完了できないこと、および上司や部下との間接的なやりとりが少ないことも、調査の難しさとして挙げられました。
この調査では、スタッフの43%が、週4日間の労働にまったく懸念がないことを示していました。
パイロットプロジェクトは小規模でしたが、Spicerは、モデルはロンドンやトロントなどの都市に大規模に実装できると述べました。
オンタリオ州の自由党は10月に、来年6月に選出された場合、州全体で4日間の労働週のパイロットプロジェクトを実施する計画を発表しました。
あとがき
この週4日勤務、職種によっては効果的であるとは思いますが、全ての人が行うのは難しいかもしれません。
記事にも書かれているように、小さいお子さんがいる家庭は10時間勤務をする為に長時間子供を預ってくれるデイケアを探さなければいけませんし、重労働をしている人は長時間労働による身体に及ぼす影響も考えなければなりません。
しかし、役所や公共事業者などでこのシステムが取り入られた場合は、国民が勤務時間後にそのような施設で用事を済ませる事ができるのは大変助かります。
日本で仕事をされている方はもう既に10時間労働してますって言う方多いかもしれませんね。
日本でも、もう少し労働者の権利が重視され休みが取りやすい環境が整い、労働者が効率よく働けるようになるといいですね。