前回の記事で「Knowledge First Financial」のグループRESPのレビューを書きました。グループプランと銀行のRESPの違いやパフォーマンスなどを比較していますので、まだお読みでない方は下記の記事をどうぞ。
RESPを長年積み立てた方ご苦労様でした。いよいよ大学入学に必要なお金を引き出す時期が来ましたね。初めての方は、どの様にして引き出せばいいか不安な方もいらっしゃるでしょう。
私も、長男の時にはあまり理解しておらず、知っていれば資金の利用の仕方も、もう少し違ったのではないかと残念に思う事もあります。
そこでRESP預金を引き出す際に知ってておきたい注意事項について書いてみようと思います。
まだRESP口座をお持ちでない方は、開設前に下記の記事を参考にしてみてください。
RRSP口座預金の内容
RESP口座の中の預金額は、二つの資金に分かれています。
- これまで積み立ててきた資本金 Post Education Saving (PES)
- 資本金で得た利益額+政府の助成金+助成金で得た利益額 Education Assistance Payment (EAP)
Post Education Saving(PES)
PESはこれまで積み立てた自分のお金なので在学証明書さえあれば、いくらでも上限無く引き出すことが出来ます。
Education Assistance Payment (EAP)
- 初回に引き出せる金額は $5,000まで
- 2回目は初回を引きだ出した13週間後
- 引き出した金額は、子供の収入となる
また、大学進学を望まない場合やRESPを開設後35年以内に使用しなければ、助成金と助成金で得た利益を返金しないければなりません。
預金の引き出し方法
RESPの資金を引き出す場合は、上記の違いを念頭に置いて引き出すことが重要です。
基本的なステップは下記の様になります。
Step 1:在学証明書を入手する
まず、大学に合格して9月のコースを選択したら、7月下旬には大学から在学証明書(Proof of Enrolment) を入手します。大学のホームページでもお子さんのアカウントから入手することが出来ると思います。
Step 2:EAPの資金から引き出す
EAPにある助成金とその利益は、RESPを開設後35年以内に使いわないと返金しないといけません。せっかく貰っているのに返金するなんて勿体ないですよね。
返金の可能性を減らすためにも、出来るだけEAPの資金を先に引き出すようにした方が賢明です。
但し、上記の様にEAPの資金はお子さんの課税対象になる為、所得税が免除されるその年の Basic Personal Amount (2021年は $12,421) を越えない様に気を付けなければいけません。
一般的に高校を卒業して直ぐは収入が一番低い時期ですので、その時期にまずEAPの資金を引き出すようにします。
初回の引き出しは上記の様に上限が$5,000と決まっていますので、初回は$5,000を引き出します。2回目はそれから13週後になり、金額の上限はありません。この時期は通常、次の学期の学費が必要とるころですので、同じくEAPから引き出します。
その合計がその年のBasic Personal Amountを越えてしまうと課税されてしまうので、計算して出すようにしましょう。
ちなみに、2021年のBasic Personal Amount は $12,421です。
この Basic Personal Amount は、所得税控除項目を申告した後の金額になります。学生の場合、控除項目(学費、引っ越し費、家賃、交通費など)を申告することが出来ますので、特に他に収入がある場合は、領収書を取って置いて忘れず申告しましょう。
この控除額は、申告さえして入れば繰り越すことが出来ますので、その年 Basic Personal Amount を越えていなくても、必ず申告しましょう。
詳しくは、「学生が使える控除項目」の記事をご覧ください。
Step 3: Post Education Saving (PES) の資金を引き出す。
Post Education Saving (PES) の資金は、これまで積み立ててきた資本金ですので、在籍証明書さえあれば、いくらでも好きな時に好きなだけ非課税で引き出すことが出来ます。
但し、せっかく学費用に積み立てた資金なので、お子さんの大学資金が足りなくならない様に気を付けましょう。
また、リスクの高い投資口座は、株式が暴落した時に資金が減ってしまう可能性があるので、学費用預金がそのRESPしかない場合は、大学入学前後に少しリスクの低いポートフォリオに下げた方がいいかもしれません。
お子さんが大学進学をしない場合
お子さんが高校卒業後大学進学を望まない場合は、以下の方法があります。
1. RESPをそのままにして置く
お子さんが高校を卒業してすぐに高等教育を受けなくても、後で進学する可能性があるかもしれません。RESPアカウントは、開設後から35年間開いたままにすることができます。
18歳の時に行きたくないからといって、28歳の時に行きたくないかどうかは分かりません。カナダでは社会人になってから学校に戻って勉強するケースは良くあります。その時の為にとっておくのもいいかもしれません。
RESPは、大学のフルタイムやパートタイム以外でも研究や他に政府が指定した専門学校などの教育機関のプログラムでも使用することができます。
将来やりたい事が決まった時、進学する可能性がありますので、そのままにして置くのも選択肢の一つです。
2. RESPを兄弟姉妹に移行する
受益者に兄弟や姉妹がいる場合、その兄弟や姉妹にそのRESPを非課税で移行できます。
RESP資金を送金するには、受益者は21歳未満である必要があります。
その他にも追加の条件が適用される場合があるため、移行する前に金融プロバイダーに相談することをお勧めします。
3. RESPをRRSPに移行する
アカウントを閉鎖する場合は、RESPで得た利益は課税対象になります。しかし、RRSPに移行することで、プランで得た利益を非課税で最大50,000ドル移すことができます。しかし、これはRRSPの Contribution Room にその金額分の余裕がある事が限定となります。
これを行うには、RESPが開設後少なくとも10年間経っていて、すべての受益者が少なくとも21歳であり、高等教育を求めていない必要があります。
この場合、政府から貰った助成金とその助成金で得た収入は金融機関からカナダ政府に返金されます。
RRSPに移行しないことにした場合、RESPに積み立てた資本金に課税されることはありませんが、資本金で得た利益は収入と見なされ加税対象になります。
RESP税について詳しくは、カナダ政府の教育貯蓄のWebページにアクセスするか、ファイナンシャルアドバイザーにご相談ください。
まとめ
私は、長男の時にRESPの内容を余り理解していなかったため、引き出し方を間違い、3年目の今年もまだEAPの助成金を使い切っていません。
たまたまコロナの影響でアルバイトをしている時期が少なかったので、今年も収入はあまりないので影響はありませんが、通常でしたら週4-5日アルバイトをしていましすので、この時点でのEAP資金の引き出しはもっと気を遣わなければいかなかったかもしれません。
次男は今年の6月に高校を卒業し、大学進学が決まっていましたので、7月下旬に在学証明書を入手、即、一回目の引き出しを済ませました。
大学は9月から始まりますが、初回の引き出しを早くすることによって、次回の引き出しのチャンスも早く来ますので、そういったタイミングを心がけるのも重要だと思います。
次男のRESPは前回の記事で紹介した「Knowledge First Financial」のRESPがあります。その記事でも述べているように、訴訟などの不穏な動きもあるので、EAPの初回引き出しの際、PESの預金を全額引き出しましたが、問題なく引き出すことが出来ました。
こちらは、銀行のTFSA口座に移すつもりです。